小論文という試験科目は帰国生において、重要な試験科目である。とくに文系学部の入学試験では、試験科目は英語と小論文と面接だけというところが多い。そこで、帰国生入試において重要な位置を占める小論文試験について考えてみましょう。ちなみに、一般の推薦試験も同じです。

小論文試験で何を求められるのか?

近年の大学入試の傾向として、帰国生枠選抜試験や推薦枠選抜試験に限らず一般試験においても、入学試験の科目に小論文を課す大学は多い。また、文部科学省が2020年度からセンター試験の廃止を伴う大きな大学入試制度改革を行うことを発表した。そしてそこでは小論文やディスカッションの導入が検討されている。それは、大学での学問研究に不可欠な専門の学術書を読破していく国語力が大幅に低下しているということ、そして、それとともに研究テーマを自ら見出し、これを自発的に追求考察していく力が年々衰えていることに、大学側が危機感を抱いている事実があるからだ。複雑化した時代状況を読み解き、新たな変革の方向を切り砕いていけるような若い人材がもとめられているということが大きな要因としてある。経済界においても、これまでのように知識や技術を輸入・加工して製品開発していくのではなく、過酷な世界経済競争に打ち勝っていけるような独創的な発想を生かした製品開発を行いうる人材育成が急務となっている。

考察しようとする姿勢

現代社会はいま、国内的にも大きな変革期にあり、様々な政治的課題が噴出してきている。地球環境問題をはじめとして、超高齢社会の到来、格差社会の深刻化、国際的な政治的緊張の高まり、先端科学技術の発展や医療技術の開発とそれをめぐる倫理の確立の必要性、根本的な政治改革や経済構造改革の必要性、グローバル化や情報化による急激な社会変化への対応など、国内的な問題だけでも枚挙に暇がないほどだ。こうした多様かつ複雑な社会問題に対して、これを引き受け、解決していかなければならないのは、まさにみなさんの世代なのである。したがって、こうした諸問題に対して、日頃から主体的に関心を持ち、自分の問題として考えようとしているかどうか、それを大学側は知りたいのである。勿論、こうした諸問題については現在学問的にも様々なアプローチがなされており、みなさんは大学入学後にそれらを学んでいくのである。だから、大学側としても、みなさんが知識としてどれだけそうした考え方を知っているかということを確認したいわけではない。それよりも、諸問題について自分なりに考察しようとする姿勢をどれだけ持っているか、自分なりに考察する力をどれだけ持っているかを見ようとしているのである。

小論文には

小論文には、決まった答など無いのであり、決まった答の無いそれらの問題に対して、自発的に考えていこうとする姿勢と、自分の頭を使って考えた結果として短い論述の中に示された思考力こそが小論文入試において試されているのである。そして、大きな傾向として、単に学力試験に長けた秀才型の学生よりも、このような自発的思考力を持ち得た若者を積極的に評価する方向へと、日本の大学入学試験の質自体が、確実に変化して来ているといえるだろう。